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交通事故の被害に遭ったときにすること| 事故発生~損害賠償請求の流れ

交通事故はとても身近な問題です。令和4年においては1年間だけで30万件以上発生していて、負傷者は35万人超、死者数は2,600人を超えています。日々数百件もの交通事故が発生して毎日数人が亡くなっている計算です(出典:「令和4年中の交通事故死 者数について」交通局交通企画課)。

 

そのため、いつ・誰が交通事故の被害に遭うかわかりません。突然事故に巻き込まれて怪我を負ってしまうかもしれませんし、加害者側に慰謝料等の支払いを求める手続も進めていくことになります。
「損害賠償請求を行う」といっても何から手をつければいいのかわからない方が大半ではないでしょうか。

落ち着いて対応するためにも当記事の内容をご一読いただき、流れのイメージを掴んでいただければと思います。

交通事故の現場ですること

交通事故の被害に遭われて大きな怪我を負ってしまったのなら、すぐに救急車を呼んでもらい治療を受けるべきです。

そうでない場合は、「警察に連絡すること」「加害者の身辺情報を入手すること」「事故現場の撮影」を行いましょう。

 

交通事故の現場ですること

警察に連絡

警察に連絡すると警察官が現場にやってきて、実況見分(事故現場の状況を確認すること)を行う。後々事実関係を示すために役立つことがある。

また、道路交通法上、交通事故はすべて警察へ届け出る必要があるため加害者から「連絡しないで」といわれても必ず連絡する。

加害者の身辺情報の入手

損害賠償請求を行うためには加害者を特定する情報が必要。そのため少なくとも①氏名、②住所は聞いておく。その他、連絡先・車のナンバー・車名・車の色、車の損傷個所なども確認しておくと良い。

加害者が立ち去りそうな場合は車と車のナンバーが写るようにスマホ等で撮影を行う。

事故現場の撮影

警察への連絡、加害者情報の入手もできれば、さらに事故現場の撮影も行う。現場の状況を撮影しておくことで、事実関係で後々揉めたときでも真実を示しやすくなる。

車やガードレールなどの接触箇所、損傷の程度、車が停止した位置、ブレーキ痕などを撮影できると良い。

※交通状態をみて危険がないことを確認してから行うこと。

 

事故直後、その現場でしか手に入らない情報もありますので、できるだけ証拠を確保しておくようにしましょう。

目撃者がいたときはその方に連絡先を聞いて協力を求められるようにしておくこともおすすめします。

 

なお、ご自身も車を運転していた場合は警察への連絡が法律上の義務となりますし、道路上の危険防止措置も取らないといけません。

事故被害がさらに拡大するのを防ぐため車を安全な場所に移動させること、その他停止表示器材や発煙筒を置くなどして道路上の危険を防止しましょう。

示談交渉までにすること

次に、事故現場を離れた後、加害者側との交渉が始めるまでの流れを説明していきます。なお、ここでいう交渉とは損害賠償金の支払いに関する話し合いであって、多くの場合は加害者が加入する任意保険の会社とのやり取りになります。

裁判所を介さず解決することも可能であり、こうした当事者間で和解を目指す手続を「示談」と呼びます。

 

この示談を進めるためにも、まずは「病院で治療を受けること」、そして場合によっては「後遺障害等級認定を受けること」も必要です。

 

示談交渉までにすること

病院で治療を受ける

外傷の有無、自覚症状の有無を問わず、事故に遭われた方は必ず病院で診察を受ける。特に事故直後は痛みを自覚しづらい。数日経ってから痛みを感じ出すこともあるが、事故から診察までの期間が空くと因果関係の証明が難しくなってしまう。そのため医師に診てもらうことは必須であると認識しておくべき。

さらに、その治療は完治するまで、あるいはそれ以上回復しない状態(これを「症状固定」と呼ぶ。)に至るまで続ける。

後遺障害等級の認定

後遺症が残ったときは請求できる賠償額が大きくなるが、その際後遺症の内容が「後遺障害」に認定されるかどうかがポイントになる。症状の程度に応じて等級(114級)が設けられており、認定される等級に応じて請求額の相場が異なる。

 

治療費は通常、相手方の任意保険会社が直接病院に支払ってくれます。治療期間が長くなってくると打ち切り宣告してくることもあるのですが、打ち切り時期の延長について保険会社と交渉をすること、そして何より治療途中で止めてしまうことのないように注意しましょう。

保険会社との対応に困ったときは弁護士に相談してアドバイスを受ける、または交渉等の代行を依頼することをおすすめします。

損害賠償請求までにすること

続いて、加害者側に対して損害賠償請求を行うまでにすることについて説明していきます。

 

ご自身が被った損害の程度に対応する金銭の支払いを求める必要がありますので、損害額の計算を行う必要があります。

 

ただ、「〇〇万円を支払ってください」と相手方に求めても素直に応じてくれるとは限りません。「〇〇万円ではなく、△△万円が正しい損害額だ」「あなたにも過失があったから、〇〇万円から1割を差し引いた額にすべきだ」などと、揉めることも珍しくありません。そのため過失割合の評価を行うことが必要です。

 

損害賠償請求までにすること

損害額の計算

治療費や休業損害については実際に被った不利益の額を明らかにしやすいが、慰謝料については実際の損害の程度を測ることが難しい。

保険会社は独自の算定基準に基づく金額を提示してくるが、被害者側としては裁判所で採用される算定基準を用いた方が良い。弁護士に対応してもらった場合にも同様の算定基準が用いられるため「裁判基準」「弁護士基準」などと呼ばれることもある。

過失割合の評価

被害者側に過失が認められる場合、その過失の程度に応じて減額されてしまう。この程度のことを「過失割合」と呼ぶ。

例:損害額1,000万円において、もし被害者に1割の過失割合が認められると請求できる金額は900万円、3割の過失割合が認められると請求できる金額は700万円にまで下がる。

 

過失割合は、様々な情報を総合的に勘案して評価する。交差点、信号機の有無、横断歩道の有無、道路幅、優先道路かどうか、一時停止標識の有無、その他様々な事柄が過失割合に影響する。相手方と揉めやすい点でもあるため、過去の判例などを用いて、客観的に自身の主張内容が正しいことを示すことが重要。

相手方との示談交渉

保険会社から示談について話を持ち掛けられることもあるが、提示された内容に合意する必要はない。納得のいかないこと、よく分からないことがあるなら、サインをしてはいけない。

いったん示談を成立させてしまうと取り返しがつかなくなるおそれがあるため、弁護士にチェックしてもらうか代わりに交渉してもらうなどして慎重に話を進めていくことが大事である。

 

示談はあくまで当事者間の合意に基づいて成立するものです。どちらか一方の言い分を強制させることはできません。

そこで強く対立しており示談で解決ができないときは、裁判所の手続を利用することになります。

 

裁判所を利用するとき、「調停」から始めることもありますが、調停も当事者の合意が必要になる点は示談と共通していますので、「訴訟」が最終手段となります。訴訟に対応するには専門知識が必要となりますので、弁護士がついているかどうかが結果に大きく影響してくるでしょう。

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資格者紹介

伊東 達也先生

伊東 達也Tatsuya Ito

ご相談者様のお話を丁寧にお伺いし、最善の解決策をご提案いたします。

交通事故、相続、借金でお困りの時は、ひとりで悩まずにお気軽にご相談ください。

所属
  • 刑事弁護センター 副委員長
  • 司法問題対策等委員会 委員長
  • 広報委員会 委員
  • 静岡県留置施設視察委員
  • 常葉大学非常勤講師(倒産法)
経歴
  • 1982(昭和57)年 1月 静岡県静岡市 生まれ
  • 2000(平成12)年 3月 静岡県立静岡高等学校卒業
  • 2004(平成16)年 3月 千葉大学法経学部(現 法政経学部)卒業
  • 2011(平成23)年 3月 静岡大学法科大学院卒業
  • 2011(平成23)年 9月 司法試験合格(修習:新65期)
  • 2013(平成25)年 4月 静岡法律事務所入所

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事務所概要

名称 静岡法律事務所
資格者氏名 伊東 達也(いとう たつや)
所在地 〒420-0867 静岡県静岡市葵区馬場町43-1
連絡先 TEL:050-3177-2484
伊東 達也 宛にご連絡ください
対応時間 平日 9:00~17:30(事前予約で時間外も対応可能です)
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