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自己破産するための条件には何がある?自己破産できないケースについても併せて解説

債務超過や支払不能の問題を抱えている方の中には自己破産を検討している方がいらっしゃいます。

その中には、自己破産するための条件を知らない、自己破産できるかどうか確信が持てないという方がいらっしゃるでしょう。

そこで、この記事では自己破産するための条件と自己破産できないケースについて解説します。

債務整理を検討している方は、この記事を参考にしてください。

自己破産するために必要な条件とは?

自己破産が成立するとすべての借金について支払い義務が免除されます。しかし条件なしで自己破産が認められることはありません。

 

以下の条件を満たしている場合、自己破産の申し立てが可能です。

 

  • 支払不能状態である
  • 債務が非免責債権だけではない
  • 免責不許可事由に該当しない

支払不能状態である

破産法の第二条11項では、「支払不能」について次のように定義されています。

 

債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態

 

引用: e-GOV法令検索

 

支払不能の定義によると支払不能状態は次の3つの基準を満たしているかどうかで判断されます。

 

  • 支払能力を欠く
  • 弁済期にあるものについて債務を弁済できない
  • 債務を一般的かつ継続的に弁済することができない

 

債務者の収入・信用力・財産などを考慮し、支払能力があるかどうかを判断します。

 

さらに、「弁済期があるものについて債務を弁済できない」という条件は、現在支払いが必要な債務について述べているのであり、将来やってくる支払いについて述べているものではありません。

 

したがって、今現在支払いが必要な返済について、支払いができているのであれば、この条件は適用外です。

 

「債務を一般的に弁済することができない」という基準は、一方の債権者には返済できても、別の債権者には返済できない状態を指します。

 

「債務を継続的に弁済できない」とは継続的な返済が必要な債務について、それができない状態のことです。

突発的な問題で一時的に支払いができなくても、次からは通常通り返済できるという場合は、この条件にあてはまりません。

債務が非免責債権だけではない

非免責債権とは、自己破産をしても支払い免除の対象とならない債権のことです。

 

非免責債権には以下のものが含まれます。

 

  • 国民健康保険の保険料や国民年金の保険料
  • 所得税や贈与税、住民税などの税金
  • 養育費
  • 重大な過失による交通事故などで被害者に支払う損害賠償金
  • 従業員への給料(個人事業主の場合)
  • 故意に債権者名簿に記載しなかった債権
  • 罰金や刑事訴訟費用、追徴金

 

非免責債権以外の債権があり、自己破産におけるその他2つの条件にも該当するのであれば自己破産の申し立てができます。

 

すべての債務が非免責債権によるものであれば、破産をしても債務免除はないので、手続きすることに意味はありません。

したがって実質的に自己破産できないというわけです。

免責不許可事由に該当しない

免責不許可事由に該当する行為がなければ自己破産が可能です。

 

免責不許可事由には以下のものがあります。

 

  • 破産手続きや免責手続きにおいて虚偽の説明や陳述をした
  • 負債が増えた原因が浪費やギャンブルによるものである
  • クレジットで購入した商品をすぐに換金して負債を増やした場合
  • 財産を隠す、価値を減少させるような行為
  • 支払能力について債権者を欺いた
  • 過去7年以内に確定した免責許可決定を受けている場合

 

自己破産をするときには、財産があればそれを現金化して債権者への配当に回します。それで、財産を失いたくないので財産を隠す、名義を親族に変更する、債権者に財産を渡したくないで毀損するなどの行為はしてはいけません。

 

破産手続きを遅らせることを目的に、クレジットカードを現金化するなどの行為も免責不許可事由です。

 

免責不許可事由に該当するものがあれば、自己破産ができないので、自己破産を検討している方は、免責不許可事由に該当するものがないかどうか確認してください。

自己破産ができないケース

自己破産ができないケースとしては以下のものが挙げられます。

 

  • 支払能力がある
  • 免責不許可事由に該当するものがある
  • 偏波弁済(へんぱべんさい)

 

支払能力があれば自己破産できないのは言うまでもないことです。

 

さらに、先ほど紹介した免責不許可事由に該当する行為があるなら自己破産はできません。

 

他にも、偏波弁済をすれば自己破産が認められないケースとなります。

偏波弁済とは債務者が特定の債権者だけに対して弁済をおこなう、あるいは担保を供与する行為です。

 

自己破産の制度は、債務者の財産のすべてを金銭に換えて債権者に公平に分配することを目的としています。

偏波弁済はこの目的に沿わない行為なので、偏波弁済をすれば自己破産ができなくなるわけです。

 

偏波弁済の具体的なケースには以下のものがあります。

 

  • 債権者である親戚や友人にのみ返済をおこなう
  • 自動車を失いたくないので自動車ローンを一括返済し完済する
  • 家から追い出されたくないので未払い家賃を一括で支払う

 

自己破産を検討している段階で、家賃やスマホ代などの未払いがあるなら、自己判断で完済するのではなく弁護士などに相談し適切なアドバイスを受けてください。

まとめ

この記事では自己破産するための条件を紹介しました。その条件は以下の通りです。

 

  • 支払不能状態である
  • 債務が非免責債権だけではない
  • 免責不許可事由に該当しない

 

債務超過や支払不能の問題があれば、早急に弁護士にご相談ください。債務整理の方法は自己破産だけではありません。

 

弁護士に相談すれば支払能力や負債総額に応じた債務整理の方法を提案してくれます。

自己破産を選んだ場合でも手続きについて手厚いサポートを受けることができるでしょう。

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伊東 達也先生

伊東 達也Tatsuya Ito

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所属
  • 刑事弁護センター 副委員長
  • 司法問題対策等委員会 委員長
  • 広報委員会 委員
  • 静岡県留置施設視察委員
  • 常葉大学非常勤講師(倒産法)
経歴
  • 1982(昭和57)年 1月 静岡県静岡市 生まれ
  • 2000(平成12)年 3月 静岡県立静岡高等学校卒業
  • 2004(平成16)年 3月 千葉大学法経学部(現 法政経学部)卒業
  • 2011(平成23)年 3月 静岡大学法科大学院卒業
  • 2011(平成23)年 9月 司法試験合格(修習:新65期)
  • 2013(平成25)年 4月 静岡法律事務所入所

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事務所概要

名称 静岡法律事務所
資格者氏名 伊東 達也(いとう たつや)
所在地 〒420-0867 静岡県静岡市葵区馬場町43-1
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